ブックタイトル平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

2看取りケアマニュアルの改訂2014年1月に、ケアプロジェクトチームのメンバー全員で、看取りケアのマニュアルに関する話し合いをしたところ、「マニュアルを読んでも、どうすると良いかが分からない」、「内容の多くは、看取りの時期ではなく普段から必要な心構えが書かれている」「マニュアルがあることを知らなかった」という意見があり、ほとんど活用されていないことが分かった。そこで、看取りケアマニュアルの見直しを行うこととした。また、メンバーが看取りケアに際して感じていることとして、「看護職員に連絡することが必要な状態か、様子を見て良いかの判断ができない」、「何をどのように観察するかがわからない」、「危険な状態に直面したときに、何をするのかがわからない」という意見があった。そのため、これらの問題に対応するための修正を行うこととし、介護職員と看護職員が中心となって、平成26年3月に完成させた。そして、新しい看取りケアマニュアルを1年間使用し、修正を加えていくこととし、プロジェクトチームメンバー以外の職員(以下、職員とする)への周知を行うとともに、4月の新人職員研修にも用いた。その後、使用状況を確認し、1マニュアルの配置場所をスタッフステーション内に置く、2急変時の連絡票をすぐに見ることができる場所に掲示する、3嚥下障害が生じた段階での食事介助や、意識レベルが低下した時の観察については図で示すなどの修正を行った。以上の看取りケアマニュアルの修正に対し、職員からは「分かりやすくなった」という反応があった。3家族との関係を深めるための全職員に対する働きかけの実施現在の看取りケアにおいて改善が必要なポイントを検討したところ、家族の希望や思いを十分に知らないことが挙げられ、その背景として日頃から家族との関係が希薄であることが考えられた。また、職員に家族との関わりについての実態調査を行ったところ、「挨拶以上の会話ができてない」、「面会者が誰の家族か分からない」「家族は職員に遠慮していると感じる」という結果が得られた。そこで、職員に対して「家族への関わりを増やそう」とする働きかけを実施した。その結果、職員から「良い取り組みだ」「コミュニケーションが増えた」等の反応があった。その一方で、「関わり難さを感じる家族がいる」という意見もあり、そこで、そのような家族に対する関わり方のコツを職員に伝えることとした。また、「家族に顔と名前を覚えてもらおう」とする企画も立ち上げ、施設のスタッフの氏名と似顔絵をポスターにして、面会者の目につく場所に掲示した。4偲びのカンファレンスの開催死亡退所があったフロアーごとに、偲びのカンファレンスを開催することとし、毎月のフロアー会議の中で、10~15分程度、最近の1か月間に死亡した高齢者のことについて話し合う時間を持った。58