ブックタイトル平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

開催し始めた当初は、参加者が看取りに対して感じたことを述べ合うだけのことが多かった。中には「(高齢者が希望していた)四国のお遍路に行きたかった」など、思いが先行して現実離れした意見も見られた。そのような状況をプロジェクトチームの定例会議で共有し、対策を話し合った結果、偲びのカンファレンスではケアで良かった点や改善した方が良い点について検討することを求めることとして、そのように議事録の書式を修正することとした。また、偲びのカンファレンスの議事録から、参加者が遺された家族が看取りケアをどのように受け止めているかを知ることができていないことが浮き彫りになった。プロジェクトチームの定例会議の中では、高齢者が死亡した後の家族の様子については、退所手続きのために施設に来所した家族に対応する生活相談員が知っていることがわかった。そこで、生活相談員が可能な限り偲びのカンファレンスに参加し、高齢者が亡くなった後の家族の様子を伝えることとなった。また、今後は、家族に偲びのカンファレンスへの参加を促すことを検討した。5プロジェクトチーム活動の施設内への周知職員に対して、家族との関係性を深めようとする働きかけを行った際に、職員から「関わり難さを感じる家族がいる」との意見があった。この件についてプロジェクトチームで検討したところ、あるチームメンバーがそういう場合のコツを披露した。そこで、そのコツを広く職員に伝達すると良いと考え、その後施設内の職員に告知したが、職員からの反応は薄かった。その理由を考えたところ、コツを伝達する際に、職員アンケートの中で家族との関係性を深めようとしても関わり難さを感じる家族がいるという意見があり、そのような場合のコツを共有するという意図が伝えられていなかったために、なぜその告知が行われたのかが分からなかったことが考えられた。そのことがあって、プロジェクトチーム内で、チームは施設を代表して看取りケアに関する様々な意見を集約し、対策を考案し実施を働きかけることが主な役割であり、そのためにはプロジェクトチームにおいて検討した内容を職員に伝える必要があることを確認した。そして、活動を伝える手段として、「看取り通信」を作成して職場内のネットワークにアップし職員全員が閲覧できるようにすることを考えた。その後、職員の看取り通信の受け止め方を確認したところ、プロジェクトチームメンバーが看取り通信がどのように受け止められているかについて把握していないことが明らかになった。施設全体で看取りケアの質の改善を図るためには、職員の看取りケアに関する理解や意識をとらえることの必要性を再認識し、プロジェクトチームメンバーは積極的に職員の受け止め方を確認していくことを確認した。6静養室(看取りの高齢者の個室)の整備Aホームでは、居室が3つの区画に分かれており、同じ階に医務室と静養室がある。静養室は、死を間近にした高齢者が過ごす部屋になるが、元々は体調不良者が安静にし59