ブックタイトル平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

2)多職種チームにおける役割認識プロジェクトチームの活動において、看護職員は全体的な援助のあり方を方向付けること、介護職員は援助のあり方の中でも24時間安全な体制を整備すること、生活相談員は家族の状況を伝達すること、栄養士は食事の援助の検討をしており、これらのことから、各職種が果たした役割には、それぞれの専門性が反映されていたと言えよう。また、職種の専門性以外にも、一つの職種で多くのスタッフが存在して交代で勤務する、高齢者が退所した後に家族に会う機会がある、デスクワークの機会がある、といった各職種の業務の特性によって、自分の役割を考えて行っていた。これらのことから、看取りケアのあり方を検討する多職種チームに参加し、活動を行うことで、看取りにおける自らの職種の役割を意識するとともに、働き方についても多職種と比較しながら意識したことが考えられる。このような思考は、自らの職種の持つ特徴と共に多職種についての理解を促進させることにもつながると考える。3)今後の展望(マネジメントを他職種で連携して行う際の工夫)今回の結果からは、各職種の職員は、自分自身の専門性や仕事を行う上での特性を考えて、自分の役割を考えていることが見えてきた。ただ、そのような考えは、実際の活動の中では表現されておらず、共有されていなかった。多職種連携を促進するためには、職種間において情報の共有とお互いの活動に対するフィードバックをスムーズすることが重要であるため、今後は、個々の職員が考えて行っていることが、他職種にどのようにとらえられているかを把握できるようにすることが必要と考える。そのことは、職員間の会話を増やし、看取りに対する認識を深めることにつながることが考えられる。(5)おわりに特養における、多職種チームによる看取りケア改善のための活動の概要と、各職種が果たした役割について報告した。活動内容は、「看取りケアマニュアルの改訂」「家族との関係を深めるための全職員に対する働きかけの実施」「偲びのカンファレンスの開催」「プロジェクトチーム活動の施設内へ周知」「静養室(看取りの高齢者の個室)の整備」に整理された。プロジェクトチームのメンバーは、自らの専門性と業務の特性に照らして、自分ができることを考えて、役割を果たしている。本チームの活動は現在も継続しており、現時点では、具体的な援助技術の改善を検討している。本稿を基に、今一度プロジェクトチームの活動内容や各メンバーの役割を振り返ることで、より良い連携のあり方と看取りケアの改善に努めたいと考える。63