ブックタイトル平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

せるために必要な役割であると考える。b.サバイバル生活を支えたものこの日は、小雪が舞う、寒い日であり、小学校に避難後、小学校2階あたりまで津波で水につかっていた。また、停電し、食べ物はなく、多くの周辺住民が避難してくる状況であった。学生は、命を守ることはできたが、夜に向かってサバイバル生活をすることとなった。学生は、<夜間の暗闇に恐怖を感じながらも仲間と居ることで安心>したことから、顔見知りや友人と一緒にいられたことで、苦しい気持ちを話したり、少量でも食べ物を分け合ったり等、相互に依存試合助け合いながら過ごせる仲間がいたことがあったと考えられる。災害の衝撃の直後には危機的状況を乗りきった喜びを同じ体験をしたもの同士で分かち合い、お互いの助け合いが活性化し、生きる意欲となると言われる(広瀬,2004,pp40-43)。この時期に、学生が仲間といることで、他者の考えを知ったり、自分の思いを話すことで、緊張がほぐされた。集団で同じ避難所にいたこと、介護ケアをグループで行うなど、お互い支えあえたと考える。また、家族との連絡も重要である。途中で電話の電源が切れてしまうこともあったが、小学校から自宅に戻る友人に連絡を託すなど学生間で協力し合って、それぞれの家族に安否を伝えていた。災害時家族の存在は、心理的な大きな支えになることが言われている(Raphael,1986/1989)。学生にとっても家族と連絡が取れ続けていたことが、安心につながっていたと考えられる。しかしながら、停電の中で携帯電話の充電が切れたことから、電源のある間に家族や大切にしている人に自分が無事である連絡を入れることを指示したり、訓練することも今後必要となると考える。加えて、教員の救護活動を行う姿を目にすることで、<先生は救護をし、自分達のヒーローである>と感じていた。教員たちが負傷者を救護しケアする姿は、これまで実習でも見ることはなかったが、医療や看護の敷材が無い小学校という中で、他の避難者が看護教員を看護師として必要とされながら活動を知ることとなった。このことで、学生たちは同じ学校という所属であることで誇らしく思いながら、頼もしく感じ、看護教員が救護等を行う様子で励まされていたと思われる。以上から、学生が生きる意欲を持ち続けサバイバル生活を支えたものは、同級生の存在と助け合い、家族との連絡、看護教員の救援活動を目にすること、自分達が介護等の活動をしたことであった言える。c.学生にとって心のケア自宅に帰ったから学校が再開するまでの間<授業再開を案じながら教員からの安否確認の連絡で学校の様子を聞く>など、教員は小学校でのサバイバル生活の後も、学生に定期的連絡を取った。学校が始めってからは、<学校での行われた心のケアが辛い気持ちを癒した>。学生にとって、自宅に戻って連絡を取り合うことから、教員に自分の思いを話す機会になっていたと推測され、心のケアが始めっていたと考えられる。その後は、学校で83