ブックタイトル平成28年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育研究事業報告書

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概要

平成28年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育研究事業報告書

政治的要因を分析する。1)評価・計画立案過程1戦略評価新規にPKOやSPMを設立する場合、「戦略評価(Strategic Assessment: SA)」が評価・計画立案過程の起点となる。特定国において情勢の悪化が見られると、国連事務総長、平和安全執行委員会、または統合タスクフォース(ITF)の上層部の決定に基づきSAが実施される。SAはITF主導で実施され、1現地の情勢、2平和の定着に向けた優先課題、3国連の役割やその範囲等を査定し、国連諸機関間の共通理解を促進することを目的としている。ITFは平和維持活動局(DPKO)または政務局(DPA)に加え、他の国連機関(専門機関・基金・計画)、現地UNCTの要員等で構成され、本部レベルでの国連諸機関間の調整とミッション計画の策定を目的に設置される5。このように、評価・計画立案の初期段階から多くの国連機関が関与することにより、本部レベルでの戦略的な統合を推進している。IAPは特に分野横断的に統合した評価の重要性を強調しており、例えば、新規ミッションにおいて文民保護の任務の必要性が高いと想定される場合、文民保護活動に従事する専門機関・基金・計画等もSAに参画することを求めている。SAは「机上評価」と「現地訪問」の2つに分類される。前者は国連諸機関、政府機関、シンクタンク等が刊行する文書や報告書をもとに評価を実施するのに対し、後者はITFやその下部組織の要員が現地に派遣され、軍事分野から人道・開発分野に至る幅広いニーズを調査することになる。最終的に、ITFはこれらの調査を踏まえ、現地の紛争要因、優先課題、戦略上の選択肢を盛り込んだ「戦略評価報告書」を作成する6。同報告書は、事務総長や安全保障理事会(以下、安保理)がミッションの機能や形態を検討する上での基礎的資料となる。2統合技術評価戦略面(Strategic)の評価を行うSAと異なり、統合技術評価は新規ミッションに必要な人員・装備・任務・予算等の活動面(Operational)の評価を行う。統合技術評価は、DPKOやDPAが主導する「技術評価ミッション(Technical AssessmentMissions:TAMs)」と専門機関・基金・計画等が個々に行う分野別評価で構成される。SAと同様、複数の国連機関が関与する活動については、統合的に評価が行われる。3リスク分析IAPでは、SAと統合技術評価の過程で、統合化によってもたらされるリスクを分析するよう求められている。特に、IAPは統合化が人道支援に与えるリスクに言及し、5IAP Working Group, Integrated Assessment and Planning Handbook, 2013, p.19.DPKOとDPA以外では、「2+4」形式、つまりOCHA、「開発活動調整事務所」(DOCO)に加え、当該国で活動を行う4つの機関(専門機関・基金・計画)の代表で構成されている。6Ibid, p.22.17