ブックタイトル平成28年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育研究事業報告書

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概要

平成28年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育研究事業報告書

加と人道アクセスの制限を助長している。2 UNSOM設立までの過程本項では、UNSOM設立までの一連の評価・計画立案過程を概観する。特に安保理の承認過程に焦点を当て、安保理は必ずしも人道的側面からミッションのマンデートや組織を検討するわけではないことを明らかにする。(ア)事務総長報告書(S/2013/69)UNPOSのUNSOMへの承継が安保理で議論されるきっかけとなったのは、2012年9月18日に採択された決議2067である。同決議は事務総長に対し、ソマリアにおける国連システムのさらなる統合化に向けた評価を実施するとともに、統合化のために採りうる選択肢を提示するよう求めた19。同決議に基づき、事務総長は2013年1月31日に事務総長報告書を安保理に提出した。同報告書は、新たなSPM(のちのUNSOM)に必要な機能として、(a)調停と政治的支援、(b)安全保障、平和構築、国家建設に関する政策提言、(c)人権の監視・報告並びに人権の保障に向けた能力強化(d)治安部門改革(SSR)を中心とした国際支援を管理するソマリア連邦政府の支援などを挙げており、新たなSPMは幅広いマンデートを担うと想定されていた20。一方、事務総長報告書は新たなSPMの組織について、(a)アフリカ連合(AU)と国連共同の平和支援活動、(b)完全に統合化された国連平和構築ミッション、(c)国連支援ミッション、(d)UNSOAとは明確に分離された国連平和構築ミッションの4つの選択肢を提示した。第1選択肢の「AUと国連共同の平和支援活動」は、AUが主に軍事・警察等の治安部門、国連が政治やロジスティック等の文民部門を担うもので、財政とロジスティック面の支援を求めるAUの意向に沿った選択肢であった。UNCTについては組織的統合の対象ではないものの、アルシャバーブに対し軍事作戦を展開するAMISOMと国連の政治部門が一体化することにより、政治的不偏性が担保できず、結果的に人道スペースが損なわれる可能性があるため、同報告書はこの選択肢を推奨していない21。第2選択肢の「完全に統合化された国連平和構築ミッション」では、国連の政治、人道、開発の各部門がAMISOMと緊密に連携することを想定している。この選択肢は、国連の窓口を1つに統合し一貫性のある活動を求めるソマリア大統領ソマリアでは中南部を中心に人道アクセスの制限が続いている。詳しくは“NGO Safety Program”に詳しい。http://www.nspsomalia.org/joomla/index.php/nsp-resources-maps/access-maps accessed at11 June 2017.19S/RES/2067, 2012.20S/2013/69, para.72.21S/2013/69, para.75.ここでいうUNCTの組織的統合とはDSRSG/RC/HCの任命を指すと考えられる。22