ブックタイトル平成28年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育研究事業報告書

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概要

平成28年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育研究事業報告書

う。さらに、一般大学生を対象にした報告ではあるが、レジリエンス得点と自己教育力(課題意識、主体的思考、学習の仕方、自己評価、計画性、自己実現)は関連性が認められている(森・清水・石田・富永ら, 2002)。従って、ストレスに対して脆弱な青年期の看護学生に、レジリエンスを向上させるような教育を提供することは、内省によって問題点を捉え解決していく力を備え、卒業後に看護専門職として自律性を促進するものと考える。看護学生の場合、学年が上がるにつれてヒューマンサービスを担う人材としての成長が望まれる。看護学生が対人援助技術を学ぶ過程で、どのようにレジリエンスを促進していくのかを理解するためには、学年ごと傾向を把握する必要があるだろう。以上のことから、本研究は愛知県内の大学に所属する看護学生のレジリエンスの特徴と学年による差異を捉え、レジリエンスと臨地実習に対する総合評価(困難感・満足感)、対人コミュニケーション・スキルとの関連を検討することを目的とした。(2)研究活動の方法(1)研究のデザイン量的記述的研究(2)研究対象者愛知県内の看護系大学生。なお、調査実施時に看護学科開設後完成年度を迎えている9大学に在学する学生を対象とした。(3)調査方法学長または学部長に調査実施協力を依頼し、承諾の得られた愛知県内看護系大学に無記名自記式調査票を郵送した。調査票は各看護系大学教員からの配布を依頼した。調査は留置法とし、各学生から郵送による返送を求めた。調査期間は平成29年11月から1月とした。(4)調査内容1基本属性年齢、学年、性別、臨地実習履修状況2レジリエンス本研究では平野(2010)が開発した二次元レジリエンス要因尺度を用いた。資質的要因4因子(楽観性・統御力・社交性・行動力)と獲得的要因3因子(問題解決思考・自己理解・他者心理の理解)の合計21項目から構成されている。下位尺度のクロンバックα係数は、資質的要因α=.83、獲得的要因α=.72と信頼性が確認されており、Cloningerの気質-性格理論を反映した尺度であるTemperament CharacteristicInventory日本語版の「気質(遺伝的)」と「性格(後天的)」、あるいは小塩(2002)の開発したレジリエンス尺度である精神的回復尺度との関連性から基準関連妥当性3