ブックタイトル平成28年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成28年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

A病院の外来診療および看護ケアの仕組みや方法について図式化し、そこで展開されている援助方法の流れを分かりやすく記した(図1)。A病院では、通常の外来診療に際して、医師、看護師、臨床心理士の職種でカンファレンスを行っていた。当該日に受診予定の患者に関して、当日の勤務スタッフで情報交換を行い、個々の患者の課題と援助方法を検討するカンファレンスをルチーンに実施していた。その結果、病気の受け止めや認識、知識や技術、心理的問題、家族問題、仕事等、患者が抱える個々の課題に対し、面接の必要性や援助方法の検討を行っていた。このカンファレンスでかなり詳細な情報の共有がなされ、個人に適した援助方法の検討がされていた。カンファレンスの場では、個々の患者の情報共有と援助計画が検討され、その情報は、その日の夕方のカンファレンスで共有、評価されていた。つまり、朝と夕方のカンファレンスが軸となり個人に適した援助方法の検討と評価が循環的に為される仕組みとなっていた。外来診療は通常、医師と患者の2者関係で行われることが多いが、A病院では、医師、看護師、臨床心理師の多職種チームによる医療が展開されており、その要として多職種カンファレンスが位置づけられていた。他職種連携や外来でのチーム医療、カンファレンスが有機的に連携しあい、実際の患者への援助の提供システムとしてルチーンに機能していた。外来での医療提供システムに関しては、看護外来等の設置といった取り組みはあるが、まだ開発の余地は多い。そのため、A病院で展開されている外来でのチーム医療の実践は、慢性腎不全の保存期の患者を援助する仕組みとして、ユニークな援助方法であると言える。この方法を土台に、外来での医療・ケアモデルとして検討できる可能性を有していると考えられた。そこでA病院の医療実践の仕組み、方法を浮き彫りにして、それを記述し、検討を加えることにした。29