ブックタイトル平成28年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成28年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

6)面談における看護の専門性個々の患者の育った環境や生きがい、価値観、家族の情報など様々な情報が、一つ一つ意味をもっている。そのような情報のもつ意味を看護の視点から捉えながら、療法選択やセルフケア援助へとつなげていくことが大切である。看護師は、臨床心理士とは異なる援助-未来の生活設計-という視点からアプローチし、患者や家族の心理状態に合わせながら、各々がイメージした人生設計を踏まえて未来を構築できるように、情緒的援助に留まらず様々な知識を用いて援助していく役割を担っている。F.保存期情報共有シート(テンプレート)保存期にある患者の情報を集約する書式として、電子カルテの中に保存期情報共有シート(以下、テンプレート)を作成している。個別的な医療を展開するために、このシートを活用しながら個々の患者の基礎情報を多職種が共有できるシステムを作っている。面談をした時、カンファレンスが行われた時など、逐次シートに記入することで個々の患者の情報を蓄積していく。a.テンプレート活用の目的1患者の価値観や生活史を理解する2患者の基本情報や指導内容・療法選択などに関する情報を共有・整理する3スタッフの経験やスキルによる支援の差が生じすぎないよう均質で継続的な看護を提供するb.テンプレートの内容テンプレートには個々の患者の医学的な情報や生活状況に関する具体的な情報を記録する。特に、看護師は患者の気持ちや認識の変化などを重視し記録に残し、これらの情報の意味を多職種間で話し合い、治療やケアにつなげていくことが大切である。1基本情報:患者の価値観や生活史を知り、患者を理解するための項目CKDステージ、生活背景、これまでのプロセス、価値・信念、疾患についての本人の受け止め、これから望む生活など2指導項目:患者の疾患への理解を深め、腎臓の守り方を指導する項目腎臓の働き、データの見方、原疾患の理解、日常生活(血圧・食塩管理など)、CKDの合併症、次回指導の課題・ケアの方針など3療法選択:患者の主体的な意思決定を支援するための項目腎不全医療の概要、社会保障、PD/HD見学、患者紹介、本人の反応・受け止め、透析に関する思い、アセスメント、導入までの計画など上記のような患者情報をテンプレートに記載しながら、次回の面談時に焦点を当てる内容や留意すべき点などを多職種間で共有し、継続的な支援が提供できるような仕34