ブックタイトル平成28年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成28年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

組みとしている。c.テンプレート記入のポイント1)患者の情報をつなぐテンプレートは初回面談時に問診票を参考に作成し、以降は面談のたびに記入する。電子カルテに組み込まれているため、過去のテンプレートの記録内容を確認し、面談を重ねながら患者の情報を更新していく。2回目以降の面談では、当日の担当者がテンプレートに記載された情報を確認して、その日の方針を検討していく。そのため、継続した支援を提供できるように、患者の情報だけでなく、担当したスタッフ自身の判断などもわかりやすく記載し、次の支援につなげていくことを意識して書くことが大切である。2)患者の変化を捉える患者の疾患に対する思いや受容過程の変化などについて、テンプレートを通して多職種が理解できるような記録に心がける。患者と接していなくても、記録を通して患者の変化をリアルに感じ取れたり、ケアの効果を感じられたりする内容を、わかりやすく、短い言葉で表現していくことが大切である。3)多職種の視点をつなぐテンプレートにはカンファレンスで話し合われた内容も記録する。テンプレートへの記載は看護師が行っているが、医師、看護師、臨床心理士、栄養士、薬剤師、ソーシャルワーカー(SW)など、患者に関わるすべての多職種がテンプレートを読み、情報を共有している。テンプレートを媒体として、各々の多職種が患者の状況をどのように捉え、支援しようとしているのか、カンファレンスで検討していく。4)患者の言葉を意識して記録するテンプレートには、患者の現在の思いや疾患の受け止め方などに関する患者の言葉をそのまま記録することがある。また、記録を簡潔明瞭に書こうと意識しすぎると、患者の状況のリアリティがうまく伝わらないこともある。看護師の言葉で要約してしまうより、患者の言葉をそのまま記録に残した方が患者の思いがダイレクトに伝わることもある。一方で、記録として文字化することの難しさもある。客観的な情報は記録しやすいが、患者の表情や言動の解釈といった医療者の主観的な情報を記録に残してよいのか悩む時がある。患者の言葉は医療者の主観的判断によって変容していないものである。そのため、言葉をそのまま記録に残すことが重要である。患者の言葉について個々の医療者の解釈が異なったとしても、解釈した内容を多職種間で話し合い、様々な視点から患者の理解を深めていくことが可能になる。5)テンプレート活用の工夫患者との面談時に個々の看護師が体験したことや感じたこと、患者の印象など、他者にはっきり伝えることが難しいような場合には、カンファレンスなどを活用し35