ブックタイトル平成28年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成28年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

毎回講義後にはアンケートを取り、受講者の感想を聞きながら、講義内容が受講者のニーズに合っているのかを確認し、次の講義に活かしていく。b.個別学習支援患者自身のセルフモニタリングの動機づけ、継続、習慣化を図るために行う。個別支援の媒体として血圧手帳、血糖手帳などの患者手帳を用いる。1)目的個別学習支援の目的は、以下のことが挙げられる。・患者が自分の状態を把握もしくは意識することができる。・手帳に記載した内容を「見える化」することで医療者と患者が一緒に評価できる・セルフケアに影響する要因を患者自身がアセスメントできる。・セルフモニタリングを習慣化することでセルフケアへのモチベーションの維持・継続につながる。・患者なりの血圧や血糖などの目標値を設定し医療者と共有することができる。2)患者手帳やパンフレットなどの媒体を配付するタイミング腎臓病に関する情報が書かれた患者用パンフレットなどを外来受診時の早い段階から渡すと良い。医師が渡す場合と看護師による面談開始時に渡す場合がある。3)患者手帳の使用方法受診時や面談時には必ず手帳を持参してもらい、対話の材料にする。対話時はセルフモニタリングの継続を肯定し、継続できていない場合はその理由を確認していくことが大切である。手帳の記入例としては、「血圧」、「血糖」、「脈拍」、「体重」、「食事内容」、「服薬運動(万歩計の歩数)」、「天気(運動療法などに影響する要因)」が挙げられる。その他、患者オリジナルの項目となるよう、必要な項目を余白の部分などを活用しながら追加する。また、データの数値だけでなく折れ線グラフなどで示すことで、データの推移が一目瞭然となる。患者手帳に記載してある情報は、透析導入後のセルフケア支援において非常に重要となる。患者は記録することで自分の身体に意識を向け、自分の生活と身体の関係を理解していくことができる。患者と共にこれらの記録を確認することで状況理解ができ、医療者の患者理解が深まる。外来、透析室、病棟が連携し、患者手帳記載している情報を共有しながらセルフケア支援を継続することが大切である。また、記録をつけることで患者は身体感覚(症状など)では感じることができない身体の異変を理解できるようになるため、患者のモチベーションが上がり、セルフケア能力が高まることで医療者もやりがいを感じられる。(4)考察A.個別化医療の実践と慢性腎不全患者への実践的なケアシステムモデルの意義40