ブックタイトル平成28年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成28年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

に生かされているという特徴が見出された。本研究で明らかにした「援助モデル」は、多職種協働がうまく機能しているモデルの1つであり、今後、多職種協働を活性化させるための知見となると考える。そして、医療者がこのような援助モデルを活用し、チームでケアしていることを患者や家族に伝えることは、患者や家族が自らのニーズや課題に合わせて医療専門職者を選択できることにつながる。このような援助モデルを提示することは、患者や家族自身が、自ら必要とするケアにアクセスできるような支援体制の広がりを示すことにもなる。このような外来での多職種連携のあり方は、地域での生活を支え地域に繋がる連携のあり方にもつながっていくだろう。また、患者の経験を重視しそれを学びあう「ピアラーニング」という方法は、患者主体の支援方法としての意義が深い。患者や家族同士が互いに治療を受けながらの生活をどのように編み出していくか、をイメージし合い学びあう方法としての「ピアラーニング」は、患者の力を生かした支援といえる。健康上の問題に対処する上での主役は、医師でも看護者でもなく患者本人であることが指摘されている(宮本,1996)。ピアラーニングも含めた援助モデルは、患者や家族の力を生かすモデルといえるだろう。そして、「多職種が機能するためのモデル」を考えるときには、患者や家族を中心にすえ、患者・家族と共に機能するチームのあり方が重要な視点になるだろう。本研究で明らかになった多職種が機能するためのモデルは、医療者のみならず患者や家族が機能する新しいモデルの示唆であると考える。(5)結論1.「腎不全を抱える患者と家族の個別ニードに即した援助モデル」を検討し、保存期の援助モデルを明らかにした(図1)。2.「カンファレンス」では、診療の前後での多職種カンファレンスが行われ、患者や家族のニーズや課題を多面的に捉えたアプローチがなされていた。3.「面談」は、どの時期にどのような面談をするか、多職種の誰が担当するか等を吟味していた。「面談」は、患者や家族の状況に合わせて、継続的に展開されていた。4.「保存期情報共有シート」は、患者の身体情報だけでなく、生活史や価値観、病気の受け止め、捉えかた、感情の揺れ動きなど、個別的な支援に必要な情報を医療スタッフ間で共有できるシステムとして開発された。個々のスタッフが得た情報やカンファレンスで共有した情報をシートに記載し、それを共有することで、患者状況の共有や、支援方針の検討に繋がっていた。5.「ピアラーニング」は、患者や家族同士が互いに治療を受けながらの生活をどのように編み出していくか、をイメージし合い学びあう方法として、支援方法に明確に位置づけられていた。患者のセルフケアを高めていくために、患者の経験を重視し、そ42