ブックタイトル平成28年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成28年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

篠原(2012)が、遠隔授業システムとeラーニングシステムの社会的背景、国際医療福祉大学大学院におけるこれまでの取り組み、遠隔授業システムの評価、考察を加え述べている。遠隔授業システムとeラーニングシステムを組み合わせることによってより効果的な社会人教育システムを作ることができることを示した。【大学・大学院教育以外】富家・坂野(2010)は、広大な北海道では遠隔医療が求められ、スクールカウンセリングでも、一対一の継続的な個人面接から、集団(学級)を対象とした育てるカウンセリング支援やコミュニケーション教育への参加がより求められるようになってきた。そのため1回50分の集団の社会的スキル訓練(SST)を遠隔地域の高校生3クラス(60名)に年間各3回ずつ実施した。この遠隔授業は、クラス全体では特徴的な変化をもたらさなかったが、はじめから抑うつ傾向があった高校生の主張的スキルと推論の誤りはその一部が改善しており、併せて抑うつ感の軽減にも効果が得られていた。この授業は、現地の教員との共同作業であったことから、教員一人ひとりが自らの授業においても主張的スキルや推論の誤りに配慮した講義を展開する結果になり、教育課程の隅々まで指導が浸透していくことにつながった。1)北海道の事情と遠隔支援の必要性、2)遠隔スクールカウンセリングの試み、3)遠隔支援のできる心理臨床家の養成が述べられた。谷田貝・安田・坂井ら(2011)は、各地の初等中等教育機関での事例も多く見られるが、現行のTV会議システムはカメラと画像が離れていることから、双方の視線が合わないため、不自然である。学習者間のコミュニケーションを主体とした中学生による遠隔2地点と5地点間のディベート教育の試みもあり、気持が伝わらなかったという感想もあった。そのため、視線が一到する双方向TV会議システムを利用した研究を行って、一斉講義形式の遠隔講議形式では視線が一致したノンバーバルコミュニケーションの成立環境が、教育効果を上げる大きな要因であることを結論付けた。コミュニケーションが必要な学習者間における協調学習の場合での視線が一致する本システムが有効であることを検証する必要があると考えて、この研究を実施した。【看護学領域】看護学領域でテレビ会議システムを使った活動では、宮越・太田・森下(2012)が、遠隔講義システムによって2010年度に配信した遠隔授業「国際看護学」について,授業のシステム運用と授業運営について考察している。授業の11回目(中間評価)と14回目(最終評価)に施行した履修生による記述式の授業評価を用い検討している。その結果によると、大学や学部、学年を越えた意見交換が履修生の視野の広がりや学習意欲、授業への満足感に繋がることが示唆されている。遠隔授業の更なる改善には時間割の設定やシステムの円滑な運用が重要であるとされ、遠隔授業の配信大学と受信大学の履修生間に不平等が生じない53