ブックタイトル平成28年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成28年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

表6今のところ終末期医療に対する希望は決まっているサブカテゴリー亡くなり方を想像する自然な看取りを希望するが治る病気の治療は受けたいできる限り治療を受けたい記録内容の例「(パンフレットを)読みました」「(病院では)心不全で逝くかと思っていたんですが、病院で体調が落ち着いたので老衰で亡くなるのかな、と考え始めました。」安立荘での看取りを希望し、他の家族も異論のない様子。どのような亡くなり方になるかを想像し、受け止めた「パンフレットもらって読みました。ゆくゆくは自然のままで延命の希望はしないですが治る病気はきちんと治療をお願いしたい」内縁の妻「病院に行ったらまた、寿命が延びちゃうでしょう。認知症もあって今の状態が長く続くのであれば無理な治療はせずに自然の流れで看取ってあげたい」「何か症状があっても何もしないというんじゃないですよね。治る病気の時は病院に連れて行って欲しい。苦しくないようにだけお願いします。」「特に体に負担になるような事は望まない。看取りは考えてみるが今までの通り何かあれば病院へ行くと言う事でお願いしたい」自然な看取りを希望するが治る病気は治療してもらいたいと思う看取りについて気にはなるがさしあたっては病院に行くことを希望する「出来る限りの治療は希望。何かあった時、嘱託医がすぐに対応できるクリニックにいる先生の方が良い」(4)考察1説明を受け止めることができない家族の存在入所時において、看取りについてパンフレットを用いた説明を受けても【看取りについて考えられないと感じた】家族は、自宅における自分たちの介護能力や、在宅介護が困難になったことに関心が向いてきたために、入所の時点では特養における生活がどのようなものか想像がつかず、看取りについては考えることもできない状況にあることが読み取れる。自宅で介護を行った家族は、特養への入所前には葛藤や心残り、入居後にも自責の念や申し訳なさ、後ろめたさを感じることがあり、その背景には「本人の言動」や「家族の規範意識・役割意識」があると報告されている(井上,2017)。家族がそういった心理状態にある場合、看取りについてパンフレットで説明されても、説明内容をもとに看取りの方針について考えることができないこともあると考えられた。67