ブックタイトル平成29年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究成果要旨

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概要

平成29年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究成果要旨

研究成果要旨研究テーマ第二次世界大戦における日本赤十字社救護看護婦の活動―英国陸軍看護サービスとの比較による一考察―研究組織研究(代表)者:川原由佳里キーワード第二次世界大戦、看護、戦争、英国陸軍看護サービス、英国赤十字社研究報告(1)研究の背景・目的戦争は看護にさまざまな影響を及ぼす。専門職としての看護の教育訓練、資格認定、職能団体、職業規制などへの影響とともに、近年では軍隊の階級や規律の厳しさが看護教育や実践の伝統として引き継がれることの問題、看護婦が戦争に動員されることによる民間への影響が取り上げられるようになった。筆者の研究課題である日本赤十字社の救護看護婦についても、同様の観点からの議論が可能と考えられるが、これまでの研究は自国のしかも人道的活動という枠から出るものではなかった。そのため平成29年度では、第二次世界大戦における英国陸軍看護サービスの実態を明らかにし、日本との比較を通じて、戦争が看護にもたらした影響を明らかにすることを目的とした。(2)研究方法英国公文書館、大英図書館、帝国戦争博物館、ウェルカム医学史図書館所蔵の関係資料、Royal College of NursingのHistorical Nursing Journalの雑誌記事、関係団体のホームページ、関連書籍を対象とした。これらの史資料は戦時における看護婦の組織、動員、教育、任務、待遇などの制度とその運用による影響に焦点をあてて分析した。(3)研究結果結果、英国ではナイチンゲールの戦時の傷病者看護は英国政府の責任であるという考えに基づき、陸軍看護は少数精鋭のエリートである軍看護婦が男性補助員を監督指導するというシステムにより始まった。その後の帝国による植民地をめぐる戦争、二度の世界大戦において、想定を超えた規模の看護需要を満たすため、国内のほとんどの有資格看護婦が軍に動員され、一般女性は赤十字社等のボランティアに動員され、また外地では植民地の人の労働力が利用された。戦争をきっかけに軍看護婦の階級と地位は男性将校と同じレベルにまで高められ、任務地の希望は出せなかったが、派遣先では意見や希望が考慮されて、希望する施設を移動しながら勤務できた。また任務中でも結婚は可能であるなど、私生活も守られていた。しかしその一方で有資格者を失った民間病院は危機に陥り、その代わり10