ブックタイトル平成29年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究成果要旨

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概要

平成29年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究成果要旨

研究報告(1)研究の背景・目的在宅看取りを支える看護サービスとして医療と生活の両面から支援できる訪問看護は期待されるが、技術と人材の普及が十分とは言い難い。病院側もシームレスな退院支援提供体制が整えられつつあるが、療養移行期の橋渡し役となる人材の力量への依存が課題である。米国では看護師主導型の早期緩和ケア介入研究が行われ、患者のQOL等の改善が報告された。この研究では上級実践看護師が看護師のスーパーバイザーの役割を担った(Bakitas M, et al. 2009)。日本ではがん患者への看護介入研究は多くはなく、我々は専門看護師(以下、CNS)に着目し、病院に勤務するがん患者に関るCNSの看取りに向けた支援プログラムの効果検証を目指した。本研究では第一段階として支援プログラム開発ために病院に勤務するCNSが看取りに向けた支援内容を明らかにすることとした。(2)研究方法病院に勤務するCNSを対象に半構造化面接調査を実施した。面接内容は過去1年以内でCNSとしてかかわった肺がんⅣ期等の患者と家族への支援内容、地域への働きかけ等である。分析はCNSの支援内容を抽出してコード化し,サブカテゴリー、カテゴリーへと抽象化した。倫理的配慮として研究倫理委員会の承認を得て実施した(日本赤十字看護大学:承認番号2016-21、日本赤十字社医療センター:承認番号201605)。(3)研究結果研究参加者はCNS13名で、18事例が語られた。CNSが事例に関わった期間は1月以内が5事例、2月以上が11事例、不明が2事例であった。CNSの支援内容は症状緩和と意思決定支援を主軸としていた。意思決定支援では関わるポイントとなる時期と支援内容のカテゴリー数は、がんの診断と積極的治療の時期に3カテゴリー、医療者が積極的治療の中止の提案を検討する時期に4カテゴリー、看取りまでのBSC主体の時期に1カテゴリー、看取り後に1カテゴリーが抽出された。また、CNSはシステム構築として院内のシステムづくり、周辺地域のリソースの発掘と連携、院内外の医療職との役割分担と連携の要となっていた。(4)考察CNSは意思決定支援において看取りまで経過に沿い患者・家族と関っていたが、CNSだけで担うのではなく、患者・家族に関る職種と、今後必要とされる地域の医療介護専門職も巻き込むかたちとしていた。(5)結論CNSの看取りに向けた支援の全体像は症状緩和と意思決定支援を主軸に行い、院内外で患者と家族への支援体制を整えるために地域を巻き込みシステムを構築していた。CNSの意思決定支援は4時期わたり9カテゴリーの支援内容が抽出された。(6)謝辞13